最近、考古学の世界を垣間見る機会に恵まれた。私の住む土地で掘り出されるのは、縄文土器から昭和のガラスビンまで様々だ。
その遺物から泥を落とし形や大きさを測り、製造過程や使用時の痕跡を探し出す。地道だが、小さな仕事の集積から、ある時代の人々の生き方が見えてくる。人間のことを考える学問だそうだ。
遺物を調べて行くと、刃物として使用されたらしい石器からは動物の毛が、煮炊きに使われた器からは、食べ物の焦げ付きやススが見つかる。「食」への本能は、人が生きるために不可欠なものだ。
発掘の現場で、食べられる野草や山菜を見つけてその場で煮炊きしてみることもあるそうだ。私も発掘された住居址の近くでそんな食事をしてみたい。
先日、プラド美術館展で豪華な食べ物の絵に食欲を刺激された。今度こそ私の食いしん坊な胃袋は満たされるだろうか。