付喪神(つくもがみ)絵巻(「甘口辛口」新潟日報 2008.9.22掲載)

大みそかの大掃除の場面から「付喪神(つくもがみ)絵巻」という物の怪(け)の物語は始まる。人々は春を新しい物で迎えようと古い道具を捨ててしまう。捨てられた道具たちは「長年人間のために働いてきたのに」と人間への復讐(ふくしゅう)のために付喪神(物の怪)になる。そして付喪神たちは人や馬などを襲って復讐する。この場面が恐ろしくない。にぎやかな宴会なのだ。酔って木にもたれかかる花瓶妖怪、クダをまく仏具妖怪、お酌をする美女妖怪に踊るネズミ妖怪。気持ちよさそうな付喪神たちの前に並ぶ皿の中をよく見ると人の手や足、頭なのだがリアルさがまるでない。しかも、「詩はこころざしのゆくところなり」と理想を掲げて勉強をする。ただ飲み食いして楽しむだけでは道具だったころと変わりがない、詩歌を学んで精神を高めなければと言うのだ。

付喪神誕生の背景といい、「文学の道は精神の目指す所」と言う理想といい、現代の私たちにもちょっと耳の痛い話ではないか。

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